どうもご無沙汰しております。ミラノに留学中の古川です。
ブログにも書かれている通り、私がイタリアにいる一方で、田中と市村は日本を離れて韓国で滞在制作をしていました。メンバーそれぞれが海外で活動しているというのは、何だか不思議な感じがします。
さて、前回の日記で田中は、一体「国」とは何ですか、と書いていました。
私もイタリアに来てからというもの、違う視点ではありますが自分なりに感じたことがあったので、全ては伝えきれませんが、その一部を綴ってみようと思います。
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日本を出発して、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
たったそれだけの短期間のあいだに、次から次へと起こるトラブルに何度も泣かされては、親切で寛大なイタリア人たちに助けられ、遠く離れた日本の家族や友人の支えもあって、何とかここまでやってきました。
ここは良くも悪くも、全てが「イタリア」です。日本とは何もかも正反対、文化も歴史も人間性も全然違う国。共通項は「人間」であることぐらい、と言っても良いかもしれません。
それゆえに当然、自分達の、日本人のアイデンティティとは何なのか?という考えが浮き彫りになってきます。
「芸術の国、イタリア」とよく言います。確かにここは、無数の芸術家たちの努力の積み重ねによって発展しててきた国です。
では、実際に今もイタリアに多くの天才芸術家はいるのかと聞かれたら、決してそんなことはありません。レオナルド・ダ・ヴィンチも、ミケランジェロも、過去の偉人です。
それでも、これほどまでに文化が栄え、今日まで保たれてきた理由は、イタリア人が自分達にとっての文化とは、自分達のアイデンティティとは何なのかを、誰もが知っていて、それを誇りに思っている。そして、それらを絶やすことなく受け継いでいくことを、当然のことと思っている。その歴史の蓄積こそが「芸術の国」を作り上げてきたのでしょう。
では、私たち日本人が誇れることって、何でしょう。
今日、世界のあらゆる場所で、日本製の家電や車をよく見かけます。あんなに小さい島国で、これだけの技術が進んでいるのは日本人として誇るべきこと。わずか数十年でこれほどの発展をとげたのは、勤勉な日本人の国民性なくしてはなかったはずです。
その一方で、経済の発展とひきかえに、多くのものを失ってきたように思います。
私達はこのままどんどん前へ前へと進んでいくだけで、本当に良いのでしょうか?
完全経済主義のアメリカに踊らされていては、このままでは、日本はどんどん文化の貧しい国になっていく気がします。
日本人は皆、自然や風土によって育まれてきた高い美意識を、潜在的に持っているはずです。
日本に生まれて良かったと、心から私は思います。
皆さんはどうですか?日本人のアイデンティティって何だと思いますか?
それぞれで、きっと感じることはあるはずです。私にとっては、その表現方法のひとつが、アートであり、デザインなのではないかと思います。
日本を離れて、日本では気付けなかったこと、当たり前になりすぎていたことを、改めて感じることができました。日本に帰ったら再びAntennaの活動に加わり、何かのかたちで伝えていければ、と思います。
帰国まで、もう残り2ヶ月半しかありません。まだまだここでやりたいことがたくさんあります。短い留学期間を最大限に充実させたものにできるよう、応援してくれる周りの方々のためにも、精一杯がんばろうと思います。
古川 きくみ
*個人的にもブログを書いています、よろしければ是非ご覧下さい。