展覧会『8 Japanese Contemporary Artists 』のため、昨年10月中旬より12月までの間個人の作家活動(http://tanakahideyuki.com/)としてインドに行ってきました。そのインドでの滞在と展覧会の記録を紹介していきます。※展示作品はこちらに掲載

10月24日クンミンで足止め
上海で参加作家の川西隆史くんと無事合流するも、中国で飛行機が2時間遅れ一日クンミンで過ごす事に、偶然飛行機で知り合った中国人夫婦と観光する事に。
10月25日コルカタ空港着
深夜のコルカタ空港から宿へ向かう、旅行者を騙すドライバーが多いためプリペイドタクシーをチャーターしホテルを目指すも、別のホテル(Hotel VIP)へと無理矢理連れて行かれる。怒りながら粘り強く交渉し、ようやく予約していたホテルに辿り着く、レセプションの従業員を叩き起こしてやっとチェックイン。
10月26日シャンティニケタンへ
コルカタの宿で一泊し、今回の展覧会を企画した作家の岩田くんが住む西ベンガル州、シャンティニケタンを目指す。シャンティニケタンは、20世紀初頭に、岡倉天心がラビンドラナート・タゴール(1913年にアジア人としては初めてのノーベル文学賞を受賞)を訪問し、新たな美術運動を興した日印美術交流の縁の地だそう。
駅に到着し日本人に久々に会えて安堵する、本当にここに着くまで長かった。
リキシャーに乗って岩田くんの家を目指す。
夜になってサンタル族の村へと向かう。サンタル族は、インド最大の少数民族で、インド東部の州に住んでいる。少数民族は、カースト最下位の不可触民よりも低く見られているそう。電気や水道は無く、今も原始を思わせる暮らしを営む。
ちょうど10月末はインド三大祭りのひとつ「ディワリー」(光の祭り)というお祭りの時期、サンタル族の村でもこの日はお祭り、ろうそくに日を灯して幻想的な風景。
10月28日近所のチャイ屋で朝の一杯、この辺で一番の老舗だそう。
10月30日会場の下見へ、シャンティニケタンの町が持つ雰囲気とは全く違ったキレイなホワイトキューブに違和感を感じる、自然豊かで人々の生活感溢れる町の方がよほど刺激的で興味深く、アートは白い檻の中に閉じ込められてるような感覚を覚えた。
10月31日陶芸家の工房を見学へ。作家の和田さんが陶芸作品を作りたいとのことで隣のサンタル族の村へ。轆轤のUFOのような形状に驚く、とても効率的とは思えないその奇妙なカタチをした轆轤で見事に次々と壺ができあがる。
11月1日作家の野沢裕くんは10月前半からインド入りしていたこともあり制作は順調に進む。
11月2日シャンティニケタン駅に近い布屋へ、滞在先から細い一本道で繋がる駅へと向かう。小さな繁華街はクラクションの音が常に鳴り響き、まさに喧騒という言葉がふさわしい、街中はいつでもクラクションの大合唱。
11月6日この日は駅前の電気屋へ、店内は中国の安価な製品にあふれる。当初は映像を展示する予定であったが電化製品の調達が予想以上に困難であったため大幅にプランを変更する、DVDプレイヤーとテレビを購入する。
11月8日サンタル族の若頭的存在、ソムナットに依頼していたバナナ、シュロ、ヤシの葉が届く。
11月10日オープニングまであと2日、映像の展示からビデオインスタレーションに変更し急ピッチで作業を進める。
作家の戸田さんも
11月12日展覧会オープン、はじめは村に設置された作品を見るためサンタル族の村をツアーで回る。写真は小林史子さんの作品””
岩田くんが今回のプロジェクトについてプレゼンテーションを行なう。
自分の作品についてもプレゼンする、ドイツ在住の出展作家、松坂愛友美さんに通訳をお願いする。
今までで今回ほど英語の必要性を感じたことはなかった、展覧会の時はいつも地元のコーディネーターやスタッフの方に準備万端で迎えられることしかなかったため特に不自由なくやって来れたが、作家の自主企画ということもあり、個人の判断で動くことも多く海外経験が少ない自分にとっては苦労する部分も多かった。
最後は川西くんのライブパフォーマンス、VJで一緒にプレイする予定だったが、機材トラブルにより急遽映像の上映のみとなってしまった。シャンティニケタンではモノを手に入れるのが大変で、機材関係は特に苦労した。
11月13日デリーを目指す
シャンティニケタンからコルカタへ移動する、駅前はいつもも旅行者狙いの悪質なドライバー、ガイド、物売り、物乞いでごった返しインド的な活気に満ちており、作品を抱えた状態の8人が移動するのは相当大変だった。
寝台列車で15時間1000キロの移動、車窓は田園風景が続く。
後編へ
〼展覧会情報
8人の日本人アーティスト 東洋の交感
http://www.mutual-sympathy-in-the-orient.com/
往来にはリキシャーが行き交い、道ばたでチャイを飲みながら老人たちは活発に議論する。じりじりと照りつける太陽がゆっくりとのぼり、大地は熱を帯びる。少しオートバイを走らせれば、見渡す限りの大地に木々がゆれ、土でできた手作りの家々と丁寧に編み出された伝統的生活が今も息づいている。日本の若手アーティストたちがカルカッタ郊外のシャンティニケタンの自然や文化、何百年も続いている自給自足の生活に触れて何を感じ、作り出すのだろうか。約3週間の滞在制作を通して、同じ地で詩人タゴールと岡倉天心が議論を交わした未来の東洋像に今、迫ります。
・参加作家
  岩田草平 Sohei IWATA
  川西隆史 Takashi KAWANISHI
  小林史子 Fumiko KOBAYASHI
  田中英行 Hideyuki TANAKA
  戸田祥子 Shoko TODA
  松坂愛友美 Ayumi MATSUZAKA
  野沢裕 Yutaka NOZAWA
  和田昌宏 Masahiro WADA
・会場情報
  Santiniketan シャンティニケタン
  期間: 2011年11月12日 (土)- 11月19日 (土)
  時間: 11:00-19:00
  場所: SSVAD(Santiniketan Society of Visual Art and Design)
  New Delhi ニューデリー
  期間: 2011年11月19日 (土)- 2011年11月27日 (日)
  時間: 11:00-20:00
  場所: 国際交流基金ニューデリー日本文化センター
  The Japan Foundation, New Delhi
主催: 東洋の交感実行委員会
共催: 国際交流基金
協賛 : 資生堂
助成 : 公益財団法人野村財団, 財団法人ポーラ美術振興財団